- 最近よく聞くファクトリーブランドってやつについて知りたい
- 価格は安くて質の高い服が欲しい
- 日本の技術力が詰まった服を着たい
っていう人に向けて、今回はファクトリーブランドというものについて詳しく解説していく記事となっています。
コスパが良いとして知られるファクトリーブランドですが、実はもっともっと奥が深くっておもしろいんですよ。
初めて「ファクトリーブランド」という言葉を聞いたという人にも分かりやすく解説していくので、ぜひ最後まで読んでみてください。
ファクトリーブランドを知るとファッションがもっとおもしろくなりますし、良い服を安く買える、いわゆる「賢い買い物」ができるようになりますから!!
- ファクトリーブランドとはどんなブランドなのか?
- ファクトリーブランドがコスパが良いと言われている理由
- 今こそ着たい、最高のファクトリーブランド5選
- 嫁と子供と服を愛してやまない30代既婚男性
- 20代後半で突然目覚めた遅咲きの服好き
- 年間100万円以上を服を買う服バカ
- シンプルで素材にこだわったドメブラが好き
ファクトリーブランドってなんなのか?
ファクトリーブランドとは工場が運営するブランドのこと
ファクトリーブランドとはその名の通り工場(factory:ファクトリー)が立ち上げたブランドのこと。
ここで言う「工場」とは実際に服を作っている企業のことで、例えば「〇〇縫製(株)」とか「△△メリヤス」みたいな会社のことを指します。
え?服を作っているのはブランドじゃないの?
世の中にあるほとんどのデザイナーズブランドは、自分たちの手では服を作っていません。
これらのブランドはあくまで「これくらいの予算で、この生地を使って、こういうデザインの服を作りたい」という企画をし、実際に縫製をしたりして服を作るのは専門の下請け企業(工場)なんですね。(中には自社工場を持っているブランドもありますが)
こういうモノ作りの流れをOEM(※)って言いますね。
例えばCOMOLI(コモリ)の服は、デザイナーの小森さんが1着1着作っているわけじゃないですよね。
そしてデザイナーズブランドからの発注を受けて服を作っていた下請け企業(工場)が、自分たち発信でも服を作ろうと言って始めるのがファクトリーブランドということです。
OEM(Original Equipment Manufacturer)とは、他社製品を委託されて製造することです。
OEMには以下のように発注側(デザイナーズブランド)、受注側(下請け企業)の双方にメリットがあります。
- 発注側は、自社工場や製造のノウハウがなくても製品が作れる
- 受注側は、受注して作った製品や発注してきたブランドの人気が出れば、今後も安定した受注が受けられる
現在では多くのブランドがOEMを利用していますが、もちろんOEMなしで服のデザインから製造までのすべてを自社内で完結しているブランドもあります。
こちらの記事でご紹介している山内(やまうち)なんかはその良い例で、すべての服を自社生産、それも手作業での生産にこだわっているブランドとなっていますよ。
なぜファクトリーブランドはコスパが良いのか?
ファクトリーブランドがどういうものかは分かったけど、じゃあなんでファクトリーブランドはコスパが良いって言われてるの?
ファクトリーブランドがコスパが良い理由、それは服を作る工場が直接ブランドを運営しているので、中間マージンなどのコストがかからないから。
通常のブランドが服を作る工程をめちゃくちゃざっくり説明すると、このようになります。(信じられないくらいにざっくりなので、気になった方は自身で調べてみて下さい笑)
- アパレルブランドが服をデザイン
- 縫製工場に服作りを発注する
- 発注を受けた工場が服を作る
- ブランドへ納品し、店頭に並ぶ
そしてファクトリーブランドでは、これまためちゃくちゃざっくりですが①と②が省略(簡略化)されます。
すると①と②でかかっていたコストが減り、安い価格で服が作れるということなんですね。
デザイナーズブランドと変わらないクオリティ、でも…
なんとなく分かったけど、でもやっぱり安いんだからクオリティは下がるんでしょ?
その点は心配ご無用。
ファクトリーブランドでは、基本的に価格は下がりますがクオリティは下がりません。
上でも説明しましたが、ファクトリーブランドが安く服を作れるのって「服作りに関わる登場人物(企業)が減ることで中間マージンなどのコストが削減できるから」でした。
同じ服を作る場合、そこに関わる企業が増えれば増えるほど服の価格は上がっていきます。
服作りに参加する企業がそれぞれに利益を上げなければならないので、当然と言えば当然ですね。
つまりこの「利益を上げなければならない企業」が減っていることで服の価格が下がっているのであって、服のクオリティを下げたから価格が下がっているのではないんです。
だからファクトリーブランドでは、クオリティは下げずに価格だけを下げることができるというわけですね。
これだけ聞くと「じゃあファクトリーブランド最強じゃねえか」ってなりそうなもんですが、そういうわけではありません。
最初に言ったようにファクトリーブランドを運営している企業の多くは、元々デザイナーズブランドのアイテムをOEMとして受注生産しています。
つまり作りとしての服のクオリティはそのようなハイブランドと同等、と言っても過言ではありません。
同じ工場で同じ人たちが作っているので当然と言えば当然ですよね
しかしデザインや素材・生地、手間のかかる工程などに関しては別の話。
アパレルブランドやデザイナーズブランドでは、自分たちに販売力やブランド力があれば高級な素材を贅沢に使った服や、凝ったデザインで生産工程が多くかかる高価な服でも売り切ることができます。
その点で言うと、一般的にファクトリーブランドにはデザイナーズブランドほどの販売力やブランド力はありません。
つまり素材やデザインの面でファクトリーブランドがデザイナーズブランドと全く同じクオリティで服が作れるかというと、そうはいかないことが多いんですね。
特にデザインに関しては一昔前、「ファクトリーブランドは作りは良いけどデザインはつまらない…」なんて言われていたこともあったみたいです。
ただし最近では優秀なデザイナーさんを雇うファクトリーブランドも増えてきているので、一概に「ファクトリーブランドだからデザインがつまらない」なんてことは全く無くなってきていますよ
ブランド力・ネームバリューはやや劣る
繰り返しになりますが、ファクトリーブランドは一般的にデザイナーズブランドに比べてブランド力・ネームバリューに欠けると言われています。
確かにファクトリーブランドを着ていることでドヤ顔ができることってあんまりないでしょうし、メルカリなどで売る時にもデザイナーズブランドに比べると値下がりするのは否めません。
ただ逆に言うと、ブランド力・ネームバリューが服の価格に乗っかってこないわけですし、2次市場では安く手に入るってことなので悪いことばかりではないんですけどね。
この辺は価値観の問題ですし、あんまりブランド志向が強いと「タグで服を選んでいる」と揶揄されることもあると思うんですが、私は服の価値においてブランド力・ネームバリューって結構重要なものだと思っています。
やっぱりブランド力・ネームバリューがあるブランドは、着ていて高揚感ありますし所有欲も満たされやすいですよ。
おしゃれ初心者がアイテム選ぶ時の安心感にも繋がるしね
ただ最近ではSNSやインターネットの普及もあって、ファクトリーブランドでもかなりブランド力・ネームバリューが強いブランドも出てきています。
本当そう言われてもファクトリーブランドだって信じられないくらい。
まあそういったブランドはブランド力・ネームバリューが服の価格に乗っかってきて、ファクトリーブランドならではのコスパの良さが失われたりもするので難しいところなんですけどね…
今こそ着たい最高のファクトリーブランド5選
ファクトリーブランドについては大体分かったけど、じゃあ実際にどこのブランドを買えばいいの?
そんな人に向けて、ここからは服好きファッションブロガーである私が大好きな、最高のファクトリーブランドを5つご紹介していきます。
CURLY(カーリー)
まずご紹介するのは、このブログではお馴染みのカーリー(CURLY)。
今までも幾度となく触れてはきていますが、それでもまだ性懲りもなくご紹介するほどに素晴らしいブランドなんです。
カーリーは香川県の川北縫製というカットソー専門の工場が運営しているファクトリーブランド。
カットソー専門の工場が運営するブランドってことでもうお分かりかも知れませんが、カーリーのカットソーは品質がめちゃくちゃ良いです。
特に光沢感のある天竺素材を使ったカットソーシリーズは出色の出来で、マジでインナーカットソーはこれだけ持ってればいいんじゃないかってレベル。
私なんかシーズン毎に色違いや袖の長さ違いで合計6着持ってますからね笑
シーズン毎に微妙に使っている素材は違うものの基本的には世界の最高級コットンを使ったカットソー生地は、もう手触りはスベスベですし見た目にも本当に上品な光沢感を帯びています。
もちろんカーリーでは他にも、ジャージー素材のセットアップやスウェットパーカーもかなりのクオリティですし価格も抑えめで良いんですけど、やはりカーリーと言えば最初にこの天竺カットソーを手に取って欲しいかな。
またカーリーはファクトリーブランドらしく価格が本当にお手頃で、上の最高の天竺カットソーでも8,000円くらいですし、ジャケットやアウターでも30,000円台から買えるものが多くあります。
めちゃくちゃクオリティは高いのに、普段からファストファッションやセレオリを買うって人にも手の出しやすい価格帯ってのは嬉しいですね。
カーリーについてもっと詳しく知りたいって方はこちらの記事をどうぞ。
BATONER(バトナー)
最近では飛ぶ鳥を落とす勢いで人気の出てきているニットブランドがバトナー(BATONER)です。
バトナーは、ニットの産地である山形県の奥山メリヤス(※)というニット工場が母体となっているファクトリーブランド。
「バトナー」というブランド名には
日本の技術と伝統を次世代に繋ぐ(バトンを繋ぐ)
という意味が込められているそう。
メリヤス(莫大小・目利安)とは機械で編んだ編み物の総称で、その語源は江戸時代に日本に編み物を伝えたスペインやポルトガルの言葉で「靴下」を表す「medias」や「meias」だそう。
今では機械編みの編み物も「ニット」と言うことが多くなりましたが、奥山メリヤスのように古くからあるニット工場は「○○メリヤス」と名のついた所が多いですね。
そしてバトナーを運営する奥山メリヤスは、あのAURALEE(オーラリー)のニットを作っていることでも有名です。
先述のように、ファクトリーブランドの強みはデザイナーズブランドと同じ工場で同じ人たちが作っているってことですが、バトナーの人気の秘密はまさにそれ。
オーラリーでは5万円を超えるようなニットも、バトナーであればほぼ同じものが半額近くの価格で手に入れることができます。(もちろん使っている素材はオーラリーの方が高級です)
バトナーの人気がで始めた頃は、「これオーラリーのニットを作っている工場がやってるブランドなんですよ〜」がショップ店員の決まり文句になっていたほどでしたから
そんなバトナーを代表する人気アイテムが、こちらのシグネチャーニット。
上質なメリノウールを使った肉厚な畦編みニットは、しっとりなめらかな手触りでウールなのに全くチクチクしないのが魅力。
また首から脇にかけてのラグラン編みのとこなんかバトナーの技術力の高さが窺われますし、デザイン的にもアクセントになっていますね。
ただ個人的にはこのシグネチャーニットのラグランデザインが何だかしっくり来ていなくて、同じウールの畦編みニットであるリブクルーネックニットの方が好みなんですけどね。
リブクルーネックニットについてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。
CIOTA(シオタ)
シオタ(CIOTA)は、岡山県の縫製工場・生地会社である株式会社シオタが2019年秋冬から立ち上げた比較的新しいブランド。
シオタは個人的にも2020年で1番ハマったブランドなんですけど、シオタのアイテムは兎にも角にも生地が良過ぎる。
シオタでは基本的にコットンアイテムには全て最高級のスビンコットンを使用しており、このスビンコットンが本当にすごい。
ちょっと今まで経験ないくらいにスムースな手触りですし、見た目には非常に美しいツヤ感もある…
ぶっちゃけシオタのアイテムは一度身に付けちゃうともう終わりですよ。笑
このスビンコットンの生地感はハマらない人いないと思うなあ…
またシオタのアイテムはミリタリーやヴィンテージがイメージソースとなっているので、トレンドに左右されずに長く着られるっていうのも魅力の1つですね。
しかもシオタのすごいところは、その素晴らしいクオリティに対して価格がとてもリーズナブルってとこ。
価格帯としては決して安くはないんですけど、それでもやはりあのクオリティを考えると信じられないくらいお手頃だと思いますよ。
ちなみにデザイナーの荒澤さんのインスタでは、そのアイテムを作った背景からこだわったポイントまで詳しく説明されているので、シオタが気になるって人は一度覗いてみるといいと思います。
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いやー正直シオタについてはまだまだ語りたいことがあってちょっとここでは書き切れないんですけど、とにかくめちゃくちゃ素敵なブランドですし、実際今かなり人気も出てきているブランドなので是非一度見てみてください。
シオタについてもっと詳しく知りたいって方はこちらの記事をどうぞ。
PADRONE(パドローネ)
パドローネ(PADRONE)は革靴を中心に作っている日本のシューズブランド。
バトナーがオーラリーのニットを作っていたように、パドローネを運営するシューズメーカーは日本を代表するドメスティックブランドであるコムデギャルソン(COMME des GARCONS)の靴を作っていたことでも有名。
コムデギャルソンと言えばもう半ば伝説的になっているブランドですから、そのコムデギャルソンの靴とほぼ同じ作りで、本家よりもはるかにお手頃な価格で買えるとなれば人気が出ないはずがないですよね。
またパドローネは、人気セレクトショップのステュディオス(STUDIOS)が積極的に取り扱ったことで人気に火が点いたブランドでもあります。(今でも大手セレクトショップでパドローネの品揃えが断トツで多いのはステュディオスですね)
そんなパドローネの靴は、シャープなボディからトゥにかけて反り上がった独特なフォルムが特徴。
細身のシルエットから丸みを帯びて反り返ったトゥはセクシーな雰囲気もあるので、普段キレイめなスタイルが多い人にはぴったりだと思いますし、ジャケパンなどフォーマルなコーデの外しとしても活躍してくれそう。
シャープな革靴なんだけどカッチリし過ぎないで色気がある、そういう大人の遊び心が革靴ですね。
また反り返ったトゥは見た目だけでなく履き心地の上でもメリットがありまして、ソールの返りが良いので足が前に前に出ますし、爪先が浮いているので段差に躓きにくいんです。
さらには日本のブランドなので、日本人の足の形に合った木型を使用しているというのも履き心地の良さに一役買っています。
パドローネには様々なモデルがありますが、まず最初におすすめしたいのはやはり上の写真にもあるダービー(外羽根)プレーントゥシューズですね。
何と言っても外羽根のプレーントゥシューズは汎用性が抜群ですから。
パドローネのダービープレーントゥシューズみたいに、「とりあえずこれ履いとけばいいか」っていう靴が1足あると毎日のコーデを組むのがめちゃくちゃ楽になりますよ。
こちらの記事ではパドローネと同じくらいの価格帯で素晴らしいクオリティを持つブランドをご紹介していますので、気になった人はどうぞ。
久米繊維
久米繊維(くめせんい)は東京都墨田区のTシャツメーカーである久米繊維工業が運営するファクトリーブランド。
久米繊維工業は80年以上の歴史を持つ老舗中の老舗企業でして、今なお下町の職人さんたちの確かな技術力で魅力的なカットソーを作っています。
この素朴なブランド名が良いですよね〜笑
そんな久米繊維の中でも今インスタを中心に人気を博しているのが、ビッグシリーズというかなりオーバーサイズなアイテムを揃えたライン。
サイズ選びに迷わないようにフリーサイズでの展開となっているんですけど、これが本当に大きくって、全てのアイテムで着丈は80cm超え、身幅は驚異の70cmオーバーとなかなかドメスティックブランドでも見ないようなサイズ感となっています。
正直めちゃくちゃデカいのである程度の身長が要求されるとは思うんですけど、この超オーバーサイズを袖や裾にたっぷりと余らせて着る、みたいなスタイルがこれまたカッコいいんですよね。
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しかもびっくりなのがその価格。
これだけビッグサイズだと使う生地の量も増えて価格も上がりそうなもんなんですけど、なんとスウェットで7,480円(税込)、長袖カットソーなら5,280円(税込)という破格のお値段ですからね。
久米繊維は間違いなくこれからもっと注目されるブランドですから、ぜひ今のうちにチェックしておくと良いかなと思いますよ!
【ファクトリーブランドってなんなのか?】まとめ
いやあこうして見ると、日本には本当に素晴らしいファクトリーブランドがたくさんあります。
ただひとつ勘違いして欲しくないのは、「品質が同じで価格が安いならファクトリーブランドだけでよくね?」とはならないということ。
やはり細かいデザインや流行りのアイテム、ブランド自体の世界観などについてはデザイナーズブランドは素晴らしいものがありますし、服をただの布ではなく「作品」として見ることができるっていうのはデザイナーズブランドにしかない魅力かなと思います。
服をただの物質、布として見てしまうとファッションっておもしろくないですから
最後にファクトリーブランドって母体は何かの専門工場なので、それぞれのブランドに得意分野があることが多いです。
カーリーならカットソー、バトナーならニット、みたいにね
こういう各ブランドの得意分野を知った上でファクトリーブランドをうまく自分のスタイルに取り込んでいければ、ファッションはもっともっと楽しくなると思いますよ。
ではまた!!
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